好きだったよ、ずっと。【完】
「朱里さん、具合悪いですか?」



「え、あー、うん…。ちょっと飲みすぎた、かな…」



嫉妬で…、なんて言えるわけない。



「ごめん、ちょっとお手洗い行ってくるね」



春夜と中村さんを、見ていたくなかった。



中村さんに微笑みかける春夜なんか…、イヤ。



わたしが立ち上がると、岡田くんも立ち上がった。



「どうしたの?」



「付き添います」



「え、いいよ!一人で、大丈夫だし!!」



「ダメです。心配ですもん!ほら、行きますよ?」



「ちょっ…」



強引に岡田くんが、わたしの腰を抱き寄せた。



年下のくせに、生意気…。



ねぇ、春夜は助けてはくれないの?



「俺が付きそう」とか言ってくれないの?



それとも中村さんに夢中で、わたしのことなんて気にしてない?



こんなことなら、喧嘩なんてしなきゃ良かった…。



もっと早くに、みんなに言っておけば良かった…。



今更そんなこと思ったって、遅いよね。
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