好きだったよ、ずっと。【完】
わたしは、意を決して春夜を見た。



「課長、良かったですね。こんな若い、可愛い子にベッ・タ・リ、くっ付かれて」



「あ?そんな前田だって、こんな若い男にス・キ、だと言われて嬉しかっただろ」



………。



春夜と2人、数秒間見つめ合った。



見つめ合ったと言っても、「好き好き」の見つめ合いじゃなく、お互いを試すようなそんな感じの見つめ合い。



そして、先に逸らしたのはわたしで、ゆっくりと岡田くんを見た。



「ごめん、岡田くん。わたし思ったより酔いが回っちゃったみたいで…。先、帰らせてもらうわ。紗央里か紗希に言っといてもらえるかな?」



もう、1人になりたかった…。



この場から、1分1秒も早くここから去りたかった。



なのに。



「じゃぁ、俺送っていきますよ」



もうどうして、こうなっちゃうんだろう。



「分かりました」って、そこは空気読んでほしかった…。



って、そんなん分かるわけないか。
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