好きだったよ、ずっと。【完】
「新入社員の子にベッタリくっ付かれて、ムカツク」



「はぁ…。だからって俺を巻き込むな」



「一緒に外に出るだけでいいの、お願い!!」



自然と上目になり、聡を見上げれば溜め息がひとつ。



聡と一緒に来てたオトコの人は、わたしたちの空気がイヤになったのか「俺、先帰るわ。また飲もうぜ?じゃな」と、片手を上げ帰って行った。



「ったく、連れ帰ったじゃねぇかよ」



「別に、オンナじゃなかったんだからイイでしょ」



胸の前で腕を組み、下から睨み付ければクスリと笑った聡。



その笑みに身の危険を感じ、後ろに半歩下がれば「なんで逃げんだよ。協力してやるよ」と、腕を掴まれた。



そしてもう片方の空いてる手で、わたしの髪に触れ、そのまま顔の輪郭に触れる。



そしてその手が、唇に触れた時、ククッと笑った。



「な、によ…」



「木ノ瀬、すげぇ顔してる。お前にも見せてやりてぇな」



完全、楽しんでる…。



これなら岡田くんに送ってもらったほうが、安全だったかもしれない…。



だけど、後悔したってもう遅い。



聡の顔がどんどん、近付いてくるのが分かった。
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