好きだったよ、ずっと。【完】
どうしよう…、このままだとキスされちゃう…。



目をギョロギョロしていると。



「バーカ。本気でするわけないだろうが。フリだよ、フリ。分かったか?」



「え…。あ、フリね。うん、フリ」



「なに?それともマジでしてほしいの?なら、しようか?」



「バ、バカじゃないの!!」



聡はイタズラっ子のような顔をして、笑った。



「ほら、王子様来たぞ」



「えっ?……わっ」



聡の言葉に驚き、後ろを振り向こうとすれば、ふいに抱きしめられた。



「ウチの部下に変なことしないでもらえるかな、そこの狼くん」



あくまで上司として接する、春夜。



言葉に棘があるようだけど…。



「変なこと?あんた、ただの上司でしょ。俺たちがキスしようが、なにしようが関係ないでしょ」



イタズラっ子の聡は、鼻で笑った。



「いや、彼女がイヤがってたように見えたから助けただけだ。前田、大丈夫か?」



わたしと視線を合わせると、目を細め笑った。



こんなの、ズルイっ。



笑ってるようで、笑ってない目。



「お前、なにしてんの」って言いたげな顔。



そんなのこっちだって、一緒なんだからね!!



中村さんに、ベタベタされちゃってさ。



わたしがダメで、自分はイイとかホント意味分かんない。
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