好きだったよ、ずっと。【完】
「……り…!!」



だけど、春夜がわたしの名前を呼んで……、え?



いやいや、今のはきっと空耳。



ないないないない。



わたし、耳までおかしくなっちゃったのかな。



「朱里…!!無視すんな…!!」



「しゅ…、んや…?」



わたしを呼んでた声は、決して空耳なんかじゃなくって。



急いで来たんだなって分かるくらい、服装は下がパジャマで上はTシャツ。



髪は濡れていて、グシャグシャ。



わたしの前で、ぜぇはぁ言って全力で走ってきた感じ。



「ごめんっ!!」



なぜ、春夜が謝るのか分からなかった。



「な、んで…」



そう言うわたしの言葉を無視して、春夜は強くギュッとわたしを抱きしめた。



「ごめん。俺も嫉妬してた…」



嫉妬…、春夜も嫉妬…?
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