好きだったよ、ずっと。【完】
「朱里ちゃん、ランチ行こう?」



紗央里には「朱里ちゃん」と呼ばれている。



同い年なのに、そしてわたしは「紗央里」と呼び捨てなのに。



「朱里でいいよ」と言っても首を縦に振ってくれることはなく、諦めた。



「あ、わたしも一緒していい?」



「はい、もちろんです!」



そこに紗希が入ってきて、3人で行くことになった。



紗央里は、紗希にいつも敬語だ。



「先輩なんだから当たり前」だとか。



なら、わたしも敬語使わなくては…、と思ったが紗希に拒否られた。



紗央里にも言ってるらしいが、決して首を縦に振らないという。



意外に頑固な子らしい。



「ねぇ、俺も一緒にいいかな?」



「え?」



二人が声をしたほうを見る。



わたしは振り向かなくても分かる。



紗央里だけなら「何で入ってくるのよ!」と言えるが、紗希の前だから言えない。



「あ、はい。別にいいですけど…。お二人もいいですか?」



紗央里に言われ、紗希はすぐに返事し、わたしは渋々OKを出した。



「じゃぁ、行こうか」



たまにランチしたり、こんな関係が一年続いた。
< 38 / 267 >

この作品をシェア

pagetop