好きだったよ、ずっと。【完】
「璃香」



わたしは、いつもよりも低い声で璃香を呼んだ。



「え?あ、うん」



璃香も、いつのもわたしと違うと感じたのか若干声が震えていた。



「わたし、こんな奴と付き合うわけないから。こんなサイテーな奴、こっちから願い下げだから」



わたしは璃香にそう言うと、まだ後ろにいた間宮くんに声を掛けた。



「間宮くん、奥さんは?」



「あ?いないけど…」



「彼女は?」



「なんだよ…。別れたばっか」



「ふーん。じゃぁ、フリーだ」



「あぁ」



「じゃぁ、ホテル行こっか」



「あ?」



もう、どうでも良くなった。



誰でもいいから忘れさせてほしかった。
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