好きだったよ、ずっと。【完】
「途中で嫌になったら言えよ」



耳元で囁くように言えば、「うん…」と頷いた。



前田の上に跨り、顔を寄せキスをする。



前田は俺の首に両手を回し、「もっと…」と俺を煽った。



その言葉に、すぐ舌を絡めた。



「んっ…、間宮…、くんっ」



「聡」



「ん?」



「聡って呼んでよ。俺も朱里って呼ぶから」



俺は何を言ってんだろうな。



呼び名なんて、どうでもいいじゃねぇか。



前田は、ただ木ノ瀬を忘れたくて俺に「抱け」と言っただけなのに。



いや、俺じゃなくても良かったのにな。
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