好きだったよ、ずっと。【完】
「さとるっ…」



前田の掠れた声に、俺の胸も高鳴る。



「朱里…」



静かな部屋に、俺たちの息遣いだけが響く。



「んっ…、さとるっ…」



そして朱里の甘い声と。



そんな朱里の声に俺の理性は、止められなかった。



「んっ…、さとるっ…」



「なに」



「もっ…、焦らさない…、でっ…」



そう言った彼女の瞳は、潤んでいた。



「本当に、俺でいいの?」



「えっ…?」



「木ノ瀬じゃなくていいのかって聞いてんの」



<木ノ瀬>と言っただけで、朱里はビクリと反応した。
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