好きだったよ、ずっと。【完】
「ねぇ、朱里。何かあった?」



「え?」



「だってたまに朱里がいなくなると、課長もいなくなるからさぁ」



声を掛けてきたのは、隣に座ってる水野紗希<ミズノサキ>だ。



29歳、独身。



わたしが入った時から何でも仕事を教えてくれて、年が近いこともありすぐに意気投合した。



「もしかして、課長と…」



「ちょっとー、そんなことあるわけないでしょ?ビックリさせないでよー。本当に資料が見つからなかっただけだってば。それに課長来てないしー」



会社では二人が友人ということは、明かしていない。



もちろん、紗希にも言っていないのだ。



「うーん、朱里がそんな時間かかるなんて怪しい…」



「……っ」



紗希は勘がいい。



いちいち、ドキリとする。



「まぁ、朱里が違うっていうなら違うのか。でもさ、二人お似合いだと思うんだよねぇ」



<お似合い>



そう言われるとズキンと胸が痛くなる。
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