好きだったよ、ずっと。【完】
「女としてって…。そんな風に、あいつを見たことなんかない。第一、見てたら璃香のことは、とっくに忘れられてただろ?」



「じゃぁ、あの資料室でわたしを抱きしめたのは、どうして?」



璃香と話してたのに、突然後ろから声がした。



「朱里っ!?」



璃香は、ガタンッ!!と椅子を倒し立ち上がった。



「ねぇ、どうして?どうしてあんなことしたの?わたしに彼氏がいないから?可哀想だと思ったから?わたしは、璃香の代わりに抱きしめられてたの?」



俺の目を真剣に見つめる朱里は、笑うこともなく怖いくらい無表情だった。



隣には、間宮が立っていて心配そうに朱里を見つめていた。



「いや…、あれは…」



理由なんかなかった。



でも、璃香の代わりにしようなんて思ったことは一度もない。



ただ、あいつを抱きしめたくなったんだ。



でも、そんなの理由にならないよな。
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