好きだったよ、ずっと。【完】
「いや…。そうだよな。悪い、変なこと聞いた」



俺が、独り言のように小さく呟けば、朱里の顔が歪んだ。



どうして、そんな苦しそうな顔すんだよ。



お前が、そんな顔すると俺まで苦しくなる。



「……ほんと、何も分かってない」



「え?」



朱里は、俺から目線を外し俯き、ただ一言小さな声で言った。



「だから、何も分かってないって言ったの!!」



かと思いきや、顔をガバッと上げ今度は俺の目をしっかり見て叫んだ。



「なんだよ、分かってないって」



はっきり言えよ。



何も分かってないだけじゃ、全然分かんねぇよ。
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