好きだったよ、ずっと。【完】
いくらお似合いと言われても、お互いが好きじゃないのなら付き合えない。



でもわたしは言うつもりはないから、この想いは届かない。



春夜もわたしを好きになることはないだろうから、付き合うことはないんだ。



そう考えるだけで、胸が苦しくなる。



「えぇ?そう?残念だけど、わたしはタイプじゃないなー」



自分で言って泣きそうになる。



「じゃぁ、どんなのがタイプなわけ?」



「え?うーん、同じ年はイヤ。もっと大人の男で甘えさせてくれる人で、わたしのことを大切にしてくれる人」



そう言いながら、チラリと春夜を見た。



春夜は受話器を耳にあて肩で支えながら両手で資料を探していた。



「……っ」



春夜の仕草や行動に、いちいちドキドキするのはもう重症なんだろう。
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