回り道【短編】
私の視線に気付いた裕斗がこっちを見た。

友達に手を振りながら私の方へ来る。



「勉強終わったの?」
さっきの事なんてなにもなかったみたいに話しかけてくる。

「裕斗が来てから集中できなくなった…。」

ポツリとつぶやいてみる。


「俺のせい!?」

大げさに驚いてみせる裕斗。
その仕草がおかしくて、少し笑ってみた。


「麻美ってさぁ…」

なにか言いたそうな目を私に向けてくる。

「何?」

聞いてみると

「俺が来たら集中できなくなるよね?」

無邪気な顔。

「そんなことない。」

なんとなく悔しくて言ってみた。
でも、裕斗はそんな私を無視して耳に口を寄せてくる。

「なんでか教えてあげよっか?」

って。
< 4 / 6 >

この作品をシェア

pagetop