パズル
少年には、とてもとても大切な友達が1人いました。
しかし、その友達、レイ・アニスは、村の人々からとてもひどい扱いを受けていました。
なぜなら彼は、瞳の色が左右で異なっていたからです。
彼の瞳は、右目が青色、左目が赤色に染まっていました。
村の人々は、自分達とは違うその瞳の色にひどく怯え、レイを“悪魔”と罵りました。
そして彼らは、村で起こったあらゆる災厄をレイの仕業だと考えました。
農作物の不作や火事、疫病の流行など、すべてをレイのせいにされました。
それでもレイが村の人々を憎むことはありませんでした。
いつか分かり合えるから、というのが、レイのいつもの口癖でした。
少年はその言葉を一生懸命信じようと頑張りました。
レイがどんなにひどい言葉を投げかけられ、どんなにひどい暴力にあっても、いつか分かり合えるからというその言葉を信じて、どうにか憎しみの気持ちを抑えようと努力しました。
すると、少しずつ、レイにも友達と呼べるものができていきました。
それが、ラウール達でした。
彼らはレイの瞳を気味悪がるような仕草は一切見せませんでした。
ラウールはいつも言っていました。
人間は、ひとりひとり違って当たり前だ。
違っているところを挙げてみればきりがない、と。
ラウールはいつでも正しいことをする人間でした。
レイが村から追い出されそうになったときは、いつも助けてくれました。
少年はそんなラウールのことを仲間だと思っていました。
しかし、ある日を境にラウールはすっかり変わってしまったのです。