sweet wolf
「……は
………はぁぁぁ!?」
あたしは突っ立ったまま、大声で叫んでいた。
静かな部屋に、あたしの声が響いた。
冗談じゃない。
あたしを散々痛めつけておいて、今さら狼に入れだと!?
ふざけるにもほどがある。
「あんた、正気なの?」
春樹を睨む。
春樹は相変わらず冷たい瞳であたしを見ていた。
それだけで、春樹があたしに好意を持っていないことが伺える。
望むところだ。
あたしも、あんたなんて大嫌いだから。
「春樹、嫌がってんぜ?」
春樹の隣に座る男が鼻で笑った。
彼は正統派の春樹とは違い、どちらかというとガラが悪い。
茶髪に、なぜかTシャツを着ていて。
机にだらしなく足を乗せている。
「だから嫌だったんだ、俺は」
どうやら茶髪には歓迎されていないらしいあたし。
茶髪とあたしの間に、無言の火花が散った。
「俺だけの判断じゃない」
茶髪に春樹が話しかける。
まるで、春樹も反対しているような言い方だ。