sweet wolf
だけど、思い出したように発せられた美里の言葉。
その言葉に釘付けになる。
「そういえば杏奈、大宮先輩とは昔から仲良かったよね」
「は……?
てか、やっぱそうなんだ」
「何だよ、やっぱそうなんだって」
乾いた笑い声を上げる美里。
蓮のことを思い出しただけで、胸がじんわり温かくなった。
だけど、美里が蓮の存在を覚えていて、あたしが覚えていない。
しかも、蓮は美里には全く興味がないらしい。
一体どういうことだろう。
「大宮先輩、杏奈がいなくなってから荒れちゃったらしいよ?
あたしたちは隣の小学校だから、詳しいことは分からないけど」
あたしはただ、
「ふーん」
無機質な返事を返すことしか出来なかった。