sweet wolf





あたしは部屋の奥に座る春樹を見た。

直樹とそっくりだが、直樹よりキリッとした顔をしている。

そして、その瞳は相変わらず冷たかった。




「暇だから来た」




素っ気なく答えたあたしに、




「君の面倒なら、直樹が見ているだろう」




相変わらず超上から目線で言葉を吐く春樹。

その口を縫い付けてやりたい。

だけど、こんな憎い春樹相手でも、あたしの寂しさは紛れていく。

あたしは一匹狼にはなれない、弱い人間なのだろう。


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