sweet wolf
あたしは春樹から離れた席にどかっと腰掛ける。
春樹の近くにいた茶髪が、露骨に嫌な顔をした。
あぁ、こいつらも相当あたしのことが嫌いなんだろう。
一人で納得していたが、春樹が思いがけず口を開く。
「危なかったらしいな」
「は?」
わざと反抗的な態度で聞き返したあたしを見て、春樹はため息をついた。
心底呆れているとでも言うように。
だが、そのまま言葉を続ける春樹。
あたしを見て、真顔で、訳の分からないことを口走った。
「金獅子に目を付けられたんだろ?」
「金獅子!?」
思わず聞き返すと、春樹は相手にならないとでもいうようにため息をつく。
狼に金獅子?
どんなネーミングセンスしてんだ。
こいつら、本当に頭がおかしい。