sweet wolf




あたしは春樹から離れた席にどかっと腰掛ける。

春樹の近くにいた茶髪が、露骨に嫌な顔をした。

あぁ、こいつらも相当あたしのことが嫌いなんだろう。

一人で納得していたが、春樹が思いがけず口を開く。





「危なかったらしいな」



「は?」




わざと反抗的な態度で聞き返したあたしを見て、春樹はため息をついた。

心底呆れているとでも言うように。

だが、そのまま言葉を続ける春樹。

あたしを見て、真顔で、訳の分からないことを口走った。




「金獅子に目を付けられたんだろ?」



「金獅子!?」




思わず聞き返すと、春樹は相手にならないとでもいうようにため息をつく。




狼に金獅子?

どんなネーミングセンスしてんだ。

こいつら、本当に頭がおかしい。




< 167 / 312 >

この作品をシェア

pagetop