sweet wolf
「生憎、それは出来ない」
あたしは静かにそう言う春樹を睨む。
「金獅子のメンバーをごく一部しかしらない。
それに、金獅子には暴走族に入っている奴もいるという話だ。
下手に挑発すると、学園の崩壊にも繋がる」
「だからって黙って見ているのかよ?
あんた、そんな腑抜けなのかよ!?
このまま狼が潰れたら、どうしてくれるのかよ!!?」
あたしは大声で叫んでいた。
こんなあたしを見て、取り乱しもせず満足したように笑う春樹。
「君もすっかり狼の一員だな」
ドヤ顔でそう言って、難しそうな参考書を開いた。
どうやら、これ以上あたしの話を聞くつもりもないらしい。
あたしは諦めて携帯を取り出し、直樹に教えてもらったゲームを始める。
現れる敵を容赦無く攻撃しながらも、頭の中では色んなことを考えていた。