sweet wolf
無心で携帯を触り、敵を撃破していく。
あのブリーチ野郎だって、こんな風にノックアウト出来たらいいのに。
あの無神経で勝ち誇った鼻っ柱を折ってやりたい。
「あぁ、クソぉ!!」
雄叫びを上げ、画面を連打する。
それでもゲームの中のあたしは敵にダメージ一つ与えることが出来ず、無様に地面に寝そべった。
あーあ……
これじゃ、現実と同じじゃん。
「気が済んだか」
皮肉な春樹の声が聞こえ、あたしは彼を睨む。
彼はどこか冷めた目であたしを見ながら席を立つ。
「うっさいなぁ!」
悪あがきに突っかかるあたし。
だが、春樹は全く相手にする気なんてなくて。
「授業。ちゃんと出なよ」
冷たくそう言い放って部屋を後にした。