sweet wolf
はりきって教室のドアを開ける。
うるさかった教室がしーんと静まり、クラス中の視線を感じる。
あたし、注目されている?
この視線にすらワクワクする。
あたしは教壇に立ち、ぐるっとクラスを見渡した。
窓際には女子たちがいて。目を大きくしてあたしを見ていた。
そして、何かひそひそ話をして、面白そうにふふっと笑う。
真ん中あたりには、比較的真面目そうな男子たちがいて。
突然のあたしの登場に、言葉さえ出ないようだった。
そして、後ろのほう……
後ろの出口付近には、金髪やら赤髪やらがいて。
あたしを見て、興味深そうに口を歪めた。
大宮の仲間かもしれない。
大宮の存在を思い出すだけで、イライラがぶり返してきそうだった。
大宮のことは考えないように!!
念仏のように心の中で唱える。
あたしは、楽しい高校生活を送るんだ!!