sweet wolf
「杏ちゃん!駄目!!」
叫ぶ直樹を、
「うるせぇ」
再び殴るブリーチ。
あたしの中の何かがプチッと切れ……
あたしは声にならない叫び声を上げてブリーチに向かっていた。
余裕の笑みを浮かべて立ち上がるブリーチ。
ブリーチの足に直樹がしがみつくが、軽くそれを蹴飛ばす。
そして、こっちに向かって伸ばされた手の間を掻い潜り、あたしの拳は風を切った。
蓮がいなくても、あたしは大丈夫。
あたし……きっと強くなったから。