sweet wolf




「お前……」




蓮が座ったまま、ゆっくりと手を伸ばす。



胸が痛くて、だけど甘くなって。

蓮と会うだけで、おかしくなってしまう。




やっぱり直樹とは違う。



あたしは……


あたしは、蓮を求めてしまう。






蓮の手が、優しく左頬に触れる。

微かな痛みと電流があたしの身体に流れた。




「誰にやられた」




蓮は静かにそう言う。

だけど、その指先は震えていた。





そういうのがいけない。

そういう思わせぶりな態度を取るから、あたしは蓮にはまりこんでしまう。

せっかく新たな恋に出会えたと思ったのに、

蓮に会うと簡単に引き戻される。



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