sweet wolf




「セフレ……」




思わずそう言ったら、




「馬鹿じゃねぇの!?」




蓮が冷たく吐き捨てる。

優しかったその瞳に、怒りすら見えた。




「お前とセックスなんてしてねぇだろ!

それに、セフレなんてもういねぇよ!!」




その真剣な顔から目が離せない。

あたしの頭の横、壁に突かれたその手が震えている。




「マジで鈍感。

アタマ、石で出来てんじゃねぇの?

俺は……」




蓮の顔が、ふっと緩む。

そして、そのしかめっ面は柔らかくて少し悲しげな笑顔へと変わる。




「俺は……杏がずっと好き。

お前のこと、忘れたことなんてなかった」



「え……」




< 257 / 312 >

この作品をシェア

pagetop