sweet wolf



嬉しいよ。

あたし、蓮とってたった一人の女の子だったんだね。




……そうだよね。

蓮はあたしだけに優しい。






ガシャン!!





あたしたちの甘いひと時を掻き消すように、再びガラスの割れる音がした。

続いて、生徒たちの悲鳴が上がる。

あたしを抱きしめたまま、ちっと蓮が舌打ちをする。

そのまま蓮はゆっくり立ち上がり、あたしの手を引いた。





あたしは蓮に引っ張られるようにして、廊下を進む。

歩幅の大きい蓮が早足で歩くため、あたしは小走り。

蓮の足手まといにならないようにと必死だった。


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