sweet wolf
だけど……
「プーッ!!
あんた、何?その前髪」
あたしはお姉ちゃんとは真逆のタイプかもしれない。
「眉毛もほとんどないし、化粧でもしたら?」
お洒落なんてどうでもいい。
むしろ、女だからってなめられちゃ困る。
「あんただって可愛くなれるんじゃね?
あたしと同じDNA持ってんだからさ」
お姉ちゃんはそう言って高笑いして去っていった。
まるで嵐のように。
残されたあたしは鞄を抱えたまま、ぽつーんと立っていた。
夏の朝の風が、あたしの茶色の髪をそよそよと撫でていた。
「同じDNAか……」
言葉に出すと、笑ってしまう。
見た目は正反対の姉妹だけど、やっぱりあたしたちは似たもの同士。
あたしも、お姉ちゃんみたいに全力疾走したい気分だ。