sweet wolf
イラつく気持ちを押さえ、平静を装う。
ここで大暴れしたら、狼の思う壺だから。
ここは穏便に、目立たなく……
だけど、直樹はおもむろにあたしの手を掴んだ。
急な行動にどぎまぎするあたし。
「とりあえず、朝イチで杏ちゃんを連れていかないといけないんだ」
直樹はそう言って有無を言わさずあたしの手を引く。
「杏ちゃんって、あんた!!」
あたしは叫びながら直樹に引っ張られ、教室を後にした。