劣り火
『封鬼対策本部』とは、多くの国民の声により創設された政府公認の組織である。
かつて、この国は不可解な現象に見舞われていた。
建物の影に、切れ掛かった蛍光灯の明かりの下に、誰もいないはずの場所に
それは前触れもなく姿を現した。ただ現れただけならばさほど問題にはならなかった。
しかしそれは 人間に危害を加えた。
怪我を負うもの、命を奪われるもの。鬼の出現と被害の数は等しかった。
初めて発見された日から一瞬にしてそれは、人々の恐怖と嫌悪の対象となった。
そして、いつしか人々はそれを『鬼』と名づけて駆逐するべきものと位置づけた。
『鬼』は『陰(おん)』。不吉なる、得体の知れぬ、恐怖の存在。
政府は国の持ち得る科学技術の全てを駆使して鬼の出没地点の予想と、排除にあたった。
しかし、実体を持たない鬼は全ての包囲網を抜け、銃弾や刀剣の物理的な攻撃も効かず
鬼による被害を一歩たりとも食い止めることが出来ないまま、時間と国力を無駄に消費していくだけであった。
そして政府は最後の最後、出来ることならば明るみには出したくなかった『この国の影』の力に頼ることを余儀なくされた。
密やかにこの国に脈々と受け継がれてきた四大種、地水火風を掌握する力。
その力を使う者たちは、それぞれの能力により血統を築き
四大種を司る神の名を一族の名として古より栄えてきた能力者であった。
火をまとう一族を迦具土(かぐつち)、
水をよぶ一族を豊玉(とよたま)、
風をまねく一族を志那津(しなつ)、
土を繰る一族を山津見(やまつみ)と自らを名乗った。
かつて、この国は不可解な現象に見舞われていた。
建物の影に、切れ掛かった蛍光灯の明かりの下に、誰もいないはずの場所に
それは前触れもなく姿を現した。ただ現れただけならばさほど問題にはならなかった。
しかしそれは 人間に危害を加えた。
怪我を負うもの、命を奪われるもの。鬼の出現と被害の数は等しかった。
初めて発見された日から一瞬にしてそれは、人々の恐怖と嫌悪の対象となった。
そして、いつしか人々はそれを『鬼』と名づけて駆逐するべきものと位置づけた。
『鬼』は『陰(おん)』。不吉なる、得体の知れぬ、恐怖の存在。
政府は国の持ち得る科学技術の全てを駆使して鬼の出没地点の予想と、排除にあたった。
しかし、実体を持たない鬼は全ての包囲網を抜け、銃弾や刀剣の物理的な攻撃も効かず
鬼による被害を一歩たりとも食い止めることが出来ないまま、時間と国力を無駄に消費していくだけであった。
そして政府は最後の最後、出来ることならば明るみには出したくなかった『この国の影』の力に頼ることを余儀なくされた。
密やかにこの国に脈々と受け継がれてきた四大種、地水火風を掌握する力。
その力を使う者たちは、それぞれの能力により血統を築き
四大種を司る神の名を一族の名として古より栄えてきた能力者であった。
火をまとう一族を迦具土(かぐつち)、
水をよぶ一族を豊玉(とよたま)、
風をまねく一族を志那津(しなつ)、
土を繰る一族を山津見(やまつみ)と自らを名乗った。