together
結局、私も信一も、この後一言も話すことなく、学校に着いた。



私たちにしてみればこれが日常であって、何の違和感もないけど……



事情を知らないほかの学生からしてみれば、手を繋いでいるのに無言というのは、思ったより恐ろしい光景だろう。



下足箱でやっと手を離した。



少し寂しいけど……



ここでも私は信一に甘えて、靴を履き替えさせてる所へ、



「おっはよー!今日も仲良く登校ご苦労様」



朝から無駄にテンションが高い声が響き渡る。



「朝っぱらから無駄に大声を出すなよ」



そのテンションとは真逆の声で、指で耳栓しながら、



「五月蝿いぞ……葵。」



「はいはい。まったく、色男さんはノリが悪いな……」



『葵』は、そのまま私に対していきなり抱きついて来た。



「みっさ―。おはよう。やっぱりいつ見てもかっわいい―」



これがマンガならおそらく葵の周りには、ハートのマークが沢山でてきているはず。



別にあおちんには、そっちの趣味ではない……はず。



「おはよう。あおちん。」



いつも元気な友達に、声だけの返事しか返せない自分が……小さく感じる。



< 10 / 13 >

この作品をシェア

pagetop