☆マリッジ☆リングス☆
「彼女とは本当に恋人として付き合っているんだ。

20代最後の年に

君と同じ、結婚指輪を渡した。

彼女は俺と結婚したいって言ってくれている。

正直・・・嬉しい。男として。

だから、俺は、別れて一人の男に・・・」

「馬鹿・・・」

さゆりはこれ以上聞きたくなかったのか・・・聡のこれ以上、芽衣に対する気持ちが怖かった。

「また結婚して、子供産んで、幸せになれるってこと?

私たちはどうするの?母子2人で・・・これから・・・」

「まだ、間にあうわよ。あなた・・・。今なら・・・。」

さゆりは悔しかったけど

どうしても父親の存在をここで失いたくなかった。

「わたしたち・・・あんだけ不妊治療までしてやっと授かって・・・

何?・・・そんな一時の感情でせいには父親がいません・・・。ってできるの?あなた・・・」

大人たちの都合・・・

せいにはまったく関係のないところで

夫婦はこうしてくっついたり、離れたり・・・

今まだ修復できるのなら

やはり父親として

何食わぬ顔でせいの前に戻るのが親としての責任だろうに・・・

「ごめん・・・」

聡はうつむいたまま

離婚届けに判を押した。

「じゃあ・・・来週に・・・」

2人はそういって別れた。

聡にとって息子に会える最後の時

「まったく眠れないや・・」

聡はその日まで眠れない日が続いていた。

その日は・・・・

別れにはふさわしくないほどの晴天で

公園には家族連れがたくさんいる。

誰も知らない・・・

この家族がこんな現実を抱えて今対面しているなんて

夫婦は離婚

子供は父親と離れるなんて・・・

聡は、せいを見るのも辛いけど

無邪気に走って向かってくるせいを

ただ抱きしめていた。
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