☆マリッジ☆リングス☆
「せい・・・

いよいよ、小学生ですね。

パパは

せいがどんどんお兄ちゃんになっていくのが

楽しみでしょうがありません。

ママが大好きでいっしょになって

そして君が産まれました

ずーーっと待っていたんですよ。

だから嬉しかった。

ずっと

ずっと

一緒にいたかったけど

いられなくてごめんなさい・・・

でも

パパは

いつもあなたをおもっています。

お母さんをたいせつに。

守ってあげてください。

パパより」


芽衣は、部屋の片づけをしていた。

「これで荷物は最後ですか?」

引っ越し業者の男はサインをもらいにやってくると

「ハイ。」

芽衣はそれにサインをして

ガランとしたその部屋のカギをしめた。

聡の部屋・・・

芽衣は手荷物ひとつ抱えて

聡の部屋を訪れると

郵便受けに

指輪と

合鍵

そして別れの手紙を入れていった。

芽衣は聡との結婚を夢見ていたが

それは儚い夢であったことに気づく。

そして一人の男が

自分のために家族を犠牲にしてしまったことに

自分を責めた。

「大好きだったけど・・・終わりにします。」

そんな文章をかきとめ

聡の元を去った芽衣。

聡は、部屋に帰るも

ただただ・・・芽衣との思い出に

ひとり泣いていた。

「ごめん・・・」

聡もまた自分を責め

でも、一緒になれなかったという現実に

芽衣の消息が気になって気になって・・・

その日から芽衣を探していた。

「馬鹿だな・・・あいつ・・・」

とうとう、仕事も辞め

実家の新潟に帰るという。

「待てよ・・・」聡は夜の街を駆け抜けていた。



< 47 / 62 >

この作品をシェア

pagetop