☆マリッジ☆リングス☆
「おまえ・・・帰らなくていいのか?今晩?」

さゆりは久保との逢瀬を繰り返す。

「うん。そろそろね。」

2人はそれからも定期的に逢っては

男女として互いを癒しあっていた。

「来週は息子の入学式で

元旦那も呼んだわ~」

「え?本当かよ。複雑だな。」

久保はさゆりの良きアドバイザーであり、さゆりは久保にはなんでも話していた。

「でも、そろそろ、限界だろ。息子もさ。」

「そうね。だんだん、わかってきてるしね。きおつけるよ。」

「なんでも、相談にのるからさ、俺」

「うん」

「これ・・・もういらないわよね」

久保はいつも焼きもちを妬いていた。

さゆりはいまだに薬指に指輪をはめている。

「だって・・・周りがさ・・・しといたほうがいいって。」

「そんなことないさー。そろそろ」

久保はその指輪のしている指にキスをするも

嫉妬を込めた愛撫でさゆりにアピールした。

「わかった・・・」

さゆりは

徐々にシングルマザーである現実になれつつある。

久保のサポートのおかげで

精神面はずいぶん助けられていた。

「そろそろ・・・かぁ・・・」

結婚10年目でもらった指輪

外す日も近い。

別れてもなんだか取れなかったのは

気持ちに整理が付かなかったから。

入学式が終わったら外す。

さゆりはそう決心して

来週のその日まで

懸命に働いた。

「せいちゃん。いよいよだね。」

「うん」

その日はサクラも満開の

入学式にはふさわしい絶好の日になった。
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