☆マリッジ☆リングス☆
「あの・・・これ・・・」せいと聡は2人そろって病院から自宅へ戻っていた。

せいは合鍵を聡に渡した。

「あ・・・ありがとう」

これから2人

母のいない男同士の生活は、聡にとってもまったく未知で・・・やけに緊張する。

さゆりがいない、リビング

寝室

そして台所

時間は止まっているかのように

数か月前のスーパーのチラシが冷蔵庫に貼られたまんま、玄関を開けると

パラパラとなびいていた。

「あの・・・せい。」

「うん?なに・・・」

「あっ・・・いや・・・また父さんって言っても言いかな・・・」

「・・・・」

「俺は、せいって呼んでるからさ。

呼びやすいなにか・・・でもいいんだけど。」

「わかったよ。」

せいは、ちょっとイタついたのか・・・

部屋のドアをバタンと締めた。

「はぁ・・・俺って・・・」

聡はまた、せいにどう向き合ったらいいかわからず

遅い夕飯作りをしていた。

「せい・・・せい・・・」いくら呼んでもせいは返事することなく、

「ご飯できたぞー。」

聡はじっと待つことから、始めてみた。

・・・・この日はとうとう

部屋のドアは開かなかったけど・・・・
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