☆マリッジ☆リングス☆
「久保さんと別れてもうだいぶ経ったわ・・・」

さゆりは今、女一人。

病室には年老いた患者しかいない。

「さゆりちゃん」

皆がそう呼ぶけど、「私はいったいいつまでここに・・・」

子宮を全摘出してもまだ経過観察中なんてありえない。

なんの点滴なのか・・・もう聞くのも疲れていた。

「まだ、働かなきゃいけないの」

さゆりはまた社会復帰できると思っていた。

「先生・・・私はいったい、なんで出れないんでしょうか・・・?」

「血液検査の結果がイマイチよくないんですよ。

もう少し安静にしていてください。」

そう言われると、そうするしかなく

さゆりはベッドでの生活が続いていた。

「微熱も続いてますね・・・」

看護師は午後の回診でつぶやいた。

「そ・・・そうですか・・・」

さゆりは昼食もそこそこに

せいとの談笑を楽しんでいた。

何気ない会話も

せいの学校の報告も

全てはさゆりにとってワクワクしていて

まさか、これで最後になるなんて

さゆりはちょっと休むからといって

せいを帰してそっと目を閉じた。

「うん。また来るね。」

せいは、病室を離れ屋上へと上がって行った。

冬空は氷のように冷たく

せいの肌をみるみるうちに凍らせていくような・・・

「せいく~ん。」

看護師が慌てた様子でせいに駆け寄ってきた。

「お母さんが・・・」

さゆりは、突然急変して

病室からさゆりは集中治療室へ運ばれていた。

「母さん・・・」

せいは一瞬パニックになり

涙も溢れていた。
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