☆マリッジ☆リングス☆
さゆりと聡の子育て
退院してから、さゆりは睡眠不足と闘いながら日々そ過ごした。

「もうちょっと・・・協力してよ。」

なんて言えず・・・疲れて帰ってくる夫に出来る限り優しく振る舞った。

「今度の日曜日なんだけど・・・」

さゆりはたまには日曜日くらい、ゆっくり寝ていたかったのに・・・

「日曜日は会社のゴルフコンペでさっ・・・」

こんな言葉にガックリきてしまう。

でも、

「うん。わかった・・・」そう言って、だれも助けのない日曜日

泣きじゃくる赤ちゃんを必死にあやしながら

一人冷めたご飯を茶漬けにして食べるさゆり。

なんだか、部屋の中は静まりかえっていて

それだけで、涙がこぼれていた。

「ホントにこの子ったら・・・」

泣きやまない息子。

「もう・・・」

抱っこしても、どう抱き方を変えても泣き止まない。

それでも、こんな時は自分しかいない。

さゆりは泣きながらも必死にお世話した。

「子育てって大変なのね・・・」

鏡を見ると、なんだかやつれた自分に

「これじゃダメ!」って

さゆりは母乳をしっかり飲ませ

なんとか息子を寝かしつけた。

「はぁ・・・」

息子の名前は静(せい)

その名のとおり

唯一眠っている間は

静かそのもので

さゆりの心は一時落ち着いた。

「次は2時間後くらいかな・・・」

母乳の時間を計りながら、自分の時間を過ごす。

さゆりの日常は当たり前だが

子供中心だ。

聡が帰ってきたのも気が付かないほど

毎日はあっという間に過ぎた。

「あの・・・」たまに過ごす夫婦の日曜日がやってきても

さゆりは聡にうまく甘えられない。

「自分でやんなきゃ・・・」

このなんとも言えない負担は

さゆりを苦しめていった。

聡はこのことを知らない。

男は鈍感なのか・・・

聡は、さゆりが子育てに没頭しているのを見ていて

なんだか虚しさすら感じた。

「俺・・・いらなくね?」

聡は、そう思うこともしばしあった。

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