☆マリッジ☆リングス☆
「行ってきます。」

聡は家を出た。まだ朝焼け。

有楽町まで1時間弱。

聡は毎朝通勤ラッシュに挑んでいた。

「よしよし」この日はなんだかツイテいたのか

2本見送って、先頭で始発を待つ。

なかなか、先頭で待つことも難しい毎日だからなんだか気分は良かった。

有楽町へおりると、人は波のように、押し寄せては

皆、会社へと歩き出す。

もうすぐ春なのか・・・風は柔らかで心地よかった。

8時過ぎのコンビニはこれまたごった返し、聡も、缶コーヒーを買いに並んだ。

「いらっしゃいませ~」バイトの大学生風の女店員が可愛くて

このコンビニに決めた。

「おはようございます。」

この声を聞くのが好きだった。

「おはよ。」

聡はそういつも心の中で言っては、また有楽町の街にまぎれた。

でも、この日はいつもとは違う。

春の風が聡に運んできたように

その女性は突然現れた。

「あの・・・」女はそういうと聡の手を取った。

「あっ・・・」聡は一瞬、なんだかわからず手を払ってしまった。

「あっ・・・すみません、ビックリさせちゃって」

その女性は顔を赤らめ

でも、すぐに話始めた。

「私・・・こういうものです。」

女はそういうと、名刺を差し出した。

そこに書かれていたのは保険会社の名前

「田島 芽衣 と申します」

たじま めい・・・

女は保険セールスの女だった。
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