カモミール~生きててくれてありがとう~
ある日の休み時間、
愛奈果がアタシに問いつめてきた。

「詩織。私に隠してることあるでしょ?」

『え?なんのこと?』

「私、知ってるんだから!
私に隠れて鈴木君と付き合ってること。」

『えっ?それは…』

「酷いよ。私たちの友情ってそんなもん?
なんで言ってくれなかったの?
私の方が好きなのに……
菜恵も詩織が悪いと思うよね?」

『菜恵は詩織が悪いとは思わないなー。
秘密にしてたのは良くないと思うけど。
人を好きになるのは仕方なくない?』

「やめて。そんなの正論。聞きたくない。」

泣き出す愛奈果の元に
大勢の野次馬が集まる。

気付いたらどっちの味方になるか、
好き勝手に騒いでいる。

チャイムがなった。
そんな音さえ気にならないくらい
私たちは興奮していた。

香織先生が席に着きなさいとかなんとか
言ってる。

でも、誰にも聞こえない。

私が知ってるなかで
香織先生が事態の収拾をつけれなかったのは
この時だけだと思う。
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