カモミール~生きててくれてありがとう~
あれは雨の日だった。

昼からどしゃ降りの雨が降っている。

天気予報も昼からは雨。傘が必須だ。

そんな日に華乃ちゃんは傘を忘れたらしい。

帰りの会が終わる。

笑顔で近づいてくる華乃ちゃん。

「ねえ。詩織ちゃん……傘貸してくれるよね?
友達だもん。いいよね?」

アタシに濡れて帰ろと言うのだろうか。
でも、ここで断れば何をされるか
分かったもんじゃない。
いつものように拒否権なんて無いんだから。

『う。うん。いいよ……』

「やっぱり優しいねー。ありがとう!」

こんなときだけなんだと言うのだろうか。

アタシは都合のいい道具でしかない。
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