5-2
"プルルルル プルル"


2回目がなり終わらないうちに受話器をとった。


とったのは当然わ・た・し♪


「はい」


 あえて、名前は言わなかった。


それに、渡部じゃないと嫌だから、喋り始めなかった。


「あの…」


 最初に声掛けてきたのは渡部だった。


私は、渡部という事がわかったので喋り始めようとした。


「渡部かぁ!!」
「渡部ですけど!」


 2人がハモった。


「で、用件は?」


 いつもの冷めた言い方。


「あのさぁ、出口先生の500円、持ってくかなぁって、聞こうと思って…」


『あぁ!先生の500円かぁ!僕?僕はなぁ、まだお母さんに聞いてないから!』


 なんだか、急に渡部の声が弾み始めた。


そして、私達は、少しの雑談をして電話を切った。


『じゃあ、さよなら♪』


「うん!ばいばい♪」


 そんな会話が彼カノっぽくて。


嬉しくて、


愛しくて、


たまらなかった…。



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