5-2
「な、んで…?」


 私に浮かぶのは、鉄琴のメロディだけ。


「留美ちゃんが、もうピアノの曲が難しすぎてできないんな?


 それで、美月ちゃんはピアノが弾けてるんやんなぁ?


 だから、鉄琴を誰かに譲って、ピアノ、弾けやんかなぁ…」


 ナンデ、ワタシガ…?


「は、ぃ…」


 私は、ポロポロ涙を流した。


「ごめんな?」


 後ろで謝る留美ちゃんの姿。


『ううん?大丈夫。』


 そう言いたいのに。


上手く言えない。


留美ちゃん、ゴメン。


ゴメン。


「うえぇぇぇん…」


 私は泣き虫だ。


ちゃんと、言わなきゃ。





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