5-2
放送室には、まだ誰もいなかった。


「うえっん…ひっく」


 私が涙を我慢出来るのは、これで限界。


「ウワァァァァァァァァァン…!」


 私は、あの時に一生分の涙を流したと思う。


"がちゃッ"


誰かが放送室に入ってくる……!


早く涙を止めなきゃ…


って、言い聞かせても、止まる事は無かった。


「美月…」


 同じ放送委員の弘之は、私の泣いている理由を覚った。


「まぁさ…落ちても、まだ1回チャンスあるやん!」


 そんなの知ってる…


私は、新たに考えた。


私だけがなれなかったんじゃない。


むしろ、落選者の方が多いのに…。



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