5-2
「違うよ!!湖野美…ちゃん!泣いてないよ!」


 意地っ張りな私はそうしか言えなかった。


「ホント?」


 やっぱり見透かされてる。


「うん!本…当…」


私の涙は、くしゃみのせいで誰の心にも響かない。


私の涙は、止め処なく溢れる。


流れて…


床に落ちる。


それの繰り返し。


響かない涙。
< 407 / 449 >

この作品をシェア

pagetop