5-2
「5年生、入場」


 私の声と共に、みんなが来た。


みんなに指示するって、なんだかいい気分。


でも、その気分はだんだんと緊張に変わってきた。


栄火長の言葉や、山の神の登場。


山の神役は、陸君なんだよね。


「遠き山に日は落ちてを歌いましょう」


 私の合図でCDがかかる。


よし、練習通り。


『遠き山に日は落ちて』を歌ったところで、


「点火!!」


 私は思い切り叫んだ。


火がついて、『燃えろよ燃えろ』を歌った。


みんなと違うところで歌っている私は、少し恥ずかしかった。


それに、近くに陸君がいるんだもん。


恋する乙女として、当然だよ…
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