真面目な彼の秘密の本性。


__ガラッ。






「また、お前か。生駒。」






授業中にも関わらず、
堂々と教室に入った私に集まる視線。




どこか痛いような、汚れモノを見るような視線に
迎えられながら先生の言葉を無視して席に座った。





「…また遅刻?どーせ、遊んでたんだろうね。」





先生が諦めたようにまた授業を再開したとき、
嫌味のように私の耳に聞こえてくる陰口。





「ほんと、最低。ただ利用するだけとか。」


「顔がいぃだけで、調子乗りすぎ。」





__丸聞えだっての。









陰口とも言えない声のボリュームにツッコミながら
机に肘をたてて、クラスを見渡す私。





「…さ、次のヤツ誰にしようかな。」






少し声を大きめに、
陰口を叩いてるアイツらに聞こえるようにそう言った。






どーせ、嫌われモンだし。






どこか、心がスー、スーッするような寂しい感覚に
気づかぬふりをして窓の外に視線をうつした。
< 5 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop