真面目な彼の秘密の本性。
__ガラッ。
「また、お前か。生駒。」
授業中にも関わらず、
堂々と教室に入った私に集まる視線。
どこか痛いような、汚れモノを見るような視線に
迎えられながら先生の言葉を無視して席に座った。
「…また遅刻?どーせ、遊んでたんだろうね。」
先生が諦めたようにまた授業を再開したとき、
嫌味のように私の耳に聞こえてくる陰口。
「ほんと、最低。ただ利用するだけとか。」
「顔がいぃだけで、調子乗りすぎ。」
__丸聞えだっての。
陰口とも言えない声のボリュームにツッコミながら
机に肘をたてて、クラスを見渡す私。
「…さ、次のヤツ誰にしようかな。」
少し声を大きめに、
陰口を叩いてるアイツらに聞こえるようにそう言った。
どーせ、嫌われモンだし。
どこか、心がスー、スーッするような寂しい感覚に
気づかぬふりをして窓の外に視線をうつした。