蘭王の秘密
遼「……ら。…くら。さくら。」

遼が、私の震えている右手を抑えて呼ぶ。

そんな事ですら、私には何にも感じなかった。


遼「俺は、咲蘭を何がなんでも、守る。例え、俺らに話す事のできない、過去と闇を抱えていたとしても…。俺は咲蘭を信じる。大丈夫だ。」

遼は、私を優しく抱きしめる。

口だけは信用できない。

なんて、そんな事、私が言えるはずもなく。

私は、遼を蹴飛ばした。

ガッチャーーーーーン










その音を聞いてか、お母さんとお父さん、彰と葵、紅葉がはいってきた。


紅「七年前と同じ瞳になってる。闇に包まれ、自分はお人形だと言ってた頃の眼に戻ってる!」

紅葉が焦っているみたいだが、私には関係ない。

だって、今の私は、うまく歩く事ができないのだから。


葵「咲蘭は、二つの過去を思い出したんだな。かなり辛いはずの。」

翼「遼くん、少しはなしたい事があるんだか、いいか?」


親父達の話は、まともにききとれない。

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