月陽
`ト ドカナイキョリ
愛しい彼女はすぐ側に
伸ばした手は…
宙をきる
「届かぬ。あの日を最後にお前には
会えないのか?」
「月の王よ。私の事はお忘れください」
すぐ側に居たはずのお前は
光となって消える
…届かぬ
私はお前の光りが
全てが欲しい
…届かぬ
この想いも
伸ばした手も
お前の居ない世界は
意味を成さない
倦怠と無聊
酷く胸が苦しいのだ
全てが疎ましい
位も、富も
己自身も…
手の届かないこの距離
足を踏み出せぬ
弱い、私
何よりもお前を
失いたくなどないのに
私はお前を見つめるだけ