月陽
`ト ドカナイキョリ

愛しい彼女はすぐ側に


伸ばした手は…

宙をきる



「届かぬ。あの日を最後にお前には
会えないのか?」


「月の王よ。私の事はお忘れください」



すぐ側に居たはずのお前は

光となって消える



…届かぬ


私はお前の光りが

全てが欲しい



…届かぬ


この想いも

伸ばした手も



お前の居ない世界は

意味を成さない



倦怠と無聊



酷く胸が苦しいのだ



全てが疎ましい


位も、富も

己自身も…



手の届かないこの距離



足を踏み出せぬ

弱い、私


何よりもお前を

失いたくなどないのに


私はお前を見つめるだけ

< 3 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop