レア男子
嬉しそうにスキップして歩いていく俊の後を追う。
黄色い声を浴びるも、僕は無視を突き通す。
手を振り返す俊はやっぱりプリンスなのかな?
「あー!たりぃ。女うぜぇ」
「…僕は君の態度の方がウザかったけどね」
「あ?しゃーねーだろ?媚び売って損はしねーぜ?」
……嗚呼、ごめんね?
誰が誰だか分かりにくいね。
皆の前では元気で明るいヤンチャなイケメン君こと、俊は、
超絶、口が悪い。
ついでに中身も悪いです。
「うるせー。お前の中身のキモさよりマシだわ」
「…五月蝿いな。俊の口の悪さよりマシでしょ」
誰もいない保健室で、裏表が激しい僕達の喧嘩が始まる。
まあ、毎度の事だけどね。
保険医?
保険医ってサボり魔なんだよね。
今頃どこかで一服中だよ、きっと。
「つーか、感謝しろよな。俺のお陰で保健室使えんだから」
そう、サボる保険医のサボりタイミングを完全熟知した俊は保健室を使い放題なのだ。
「僕はその頭を勉強に向けた方が良いと思うんだけどね」
「ウザ。黙れ。その見た目で僕とか言うな。キモ」
「……今更でしょ」
死んだ魚のような瞳って今の俊の事を言うんだと思う。
失礼すぎる。