光の巫女
「菖蒲ちゃん。それくらいにしておいた方がいいかもね。君まで”隠”に落ちる必要はないよ。心を鎮めることだ」


「凪・・・さん?」


スッと、菖蒲を背に庇うようにして桜との間に現れたのは、凪だった。


「あら、西園寺家のご当主様じゃないですか。何度かお会いしたことあったわよね?」


「・・・さぁ?そうだっけ?僕、記憶力はいい方だけど、君みたいな全身からどす黒い”隠の気”を放ってるような奴は知らないな。
僕の脳は貴重でね。そんな事を記憶しておくほど安っぽくないんだ」


「凪さん、やめて。あたしの・・・お姉ちゃんだから」


今まで感じたことのないような視線が交差している。一触即発の雰囲気を破ったのは。菖蒲の一言だった。

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