光の巫女

ほんの数ヶ月一緒に暮らしていただけなのに、もう何年も居たように思えるのは、それだけ思い出がいっぱい詰まっているからだ。


もう、ここに来ることはない。幸い、身一つで来てしまったからそんなに荷物もない。


自分のために用意された巫女装束ともお別れ。少し名残惜しい。


「菖蒲様、着きましたが」


西園寺家から菖蒲とともについて来てくれた棗が声を掛ける
。東峰院家の門を前に着いた途端に立ち尽くしている菖蒲に向けて、不思議そうな表情を浮かべながら。

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